2000年頃のこと
那覇市前島三丁目にある元結婚式場ビルを拠点に、このエリアをアーティストが集まる場所にしたいというお誘いを受け、事務所を「前島アートセンター」に移して活動した時期がありました。このエリアはかつて歓楽街として栄えた場所でしたが、1990年の暴力団抗争事件の影響で寂れた街となっていました。
しかし、地元のビルオーナーの提供で若手アーティストや芸大生が集まり、ギャラリーやカフェ、MUSIC BAR、小さなライブハウスなどを運営。国内外のアーティストが滞在する、活気あふれる拠点となりました。ここから多くの才能が育ち、その中の一人、屋宜貢さんは現在、保育園や児童館を運営する社会福祉法人の理事として、音楽を通じた地域活性化に取り組んでいます。
那覇市内の子どもたちと地域のつながり
那覇市では都市化や核家族化の影響で、子どもたちが地域コミュニティとのつながりを失う傾向にあります。この状況を受け、那覇市内7カ所の児童館では、健全な遊びと成長環境を提供しています。その一つ、首里の大名児童館では、「社会福祉法人 若杉福祉会」が高校生に無料で音楽スタジオを提供。スタジオ利用の条件として児童館のお手伝いを課すことで、地域の交流を促進しています。小さな子供に勉強を教えたり、児童館のお手伝いをすると、音楽スタジオが無料で使えるという仕組み。
この取り組みから、児童館に集まった高校生バンドがバンドコンテストで全国大会に進出するなど、地域の注目を集める成果を挙げています。さらに、屋宜さんから学生たちに海外での新たな挑戦を提供したいという相談を受け、沖縄・台湾間での音楽交流プロジェクトが始まりました。
最初は、児童館で学生たちとの座談会から始まりました。
2023年11月 台湾での音楽交流
台湾・台北城市科技大学にて、沖縄と台湾の学生が音楽を通じて交流する機会を得ました。屋宜さんを団長に、PAエンジニアの山田さん(ex.HUMAN STAGE)らが高校生と専門学生を引率。当時高校2年生のクロムレイリーと専門学校生のリリカが台湾でライブに参加しました。
台湾側では、流行音楽学科や演劇学科の学生たちが暖かく迎えてくれました。学生同士が連絡先を交換し、夏には台湾の学生バンドが沖縄を訪れてライブイベントを開催するなど、自然なつながりが生まれています。
継続する交流と沖縄での課題
2024年のクリスマスには、台北城市科技大学の学園祭に沖縄の2バンドが参加。日本語学科の学生とも半日交流し、さらに角頭音楽が運営するTCM PUBでセッションを行いました。屋宜さんはこの夜、台湾の若手バンドメンバーと遅くまで交流し、熱心に絆を深めていました。
@角頭音樂 TCM PUB
今後の課題は、沖縄でも台湾の学生たちを受け入れる環境をどう整備するかです。
「いつか恩返しをしたい」という想いを胸に、次のステップを模索しています。
帰国時、遅延した空港ターミナルで次の目標を語る屋宜さんの姿が印象的でした。 今回、僕たちの力をほとんど借りずに自力で挑んだ台湾との交流。大成功のようでした。
沖縄と台湾の学生音楽交流は、新たな文化と絆を生み続けています。
この交流はまだまだ続きます。
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